分離症・すべり症

分離症・すべり症とは、背骨を構成している一つ一つの骨を脊椎と言いますがその脊椎がなんらかの原因で壊れて分離したり、その分離した骨が前後にずれてしまう症状のことを指します。

分離症：
分離症の正式名称は「脊椎分離症」と言います。

脊椎と脊椎が接しているところを椎間関節と言いますがその接している上関節突起と下関節突起と呼ばれる部分が分離します。

特に、腰部の脊椎の腰椎に分離が起こることがほとんどです。

脊椎分離症の日本の発生頻度は４〜７％と言われています。
一説にはイヌイットの人たちでは２７％が分離していると言われているのでなんらかの先天的な要因も絡んでいるようです。

すべり症：
通常、脊椎と脊椎はだるま落としのようにきちんと積み重ねられたようになっていますが、なんらかの要因でこの脊椎が前方や後方へ移動してしまう状態になります。

その状態をすべり症、正式名称は「脊椎すべり症」と言います。

特にすべり症が発生しやすい部位は、腰椎の４番と５番です。
いきなり滑るということは交通事故などの大きい外力が加わるなどしない限りありません。

通常はだんだん長期間をかけて滑っていきその動きが大きくなることで神経などに触れたり圧迫することで様々な症状が出てくると考えられています。

脊椎すべり症は大きく分けると３種類あります。

• 分離すべり症
• 変性すべり症
• 先天性すべり症

の３種類です。

分離すべり症：
脊椎分離症があるために起こってしまうすべり症です。
脊椎分離症の１０％〜２０％がこの分離すべり症になってしまうと言われています。

変性すべり症：
分離症を発症していない状態で起こるすべり症です。
主に４０代以降の女性に多く発症すると言われています。

先天性すべり症：
生まれつきの脊椎の形成不全が原因で起こるすべり症で、成長期になるとすべりが強く起きてきます。
比較的稀なすべり症と言われています。

さて、分離症・すべり症についてお伝えしてきましたが、分離症すべり症の具体的な症状やその原因は一体どういうものなのでしょうか？

次は、分離症・すべり症の症状と原因についてお伝えしていきます。

分離症・すべり症の症状と原因についてお伝えしてきます。

分離症すべり症の症状は様々ありますが、ヘルニアや脊柱管狭窄症と症状は似ています。

腰痛：
脊椎分離症・脊椎すべり症のどちらのケースでも起こるのがこの腰痛です。
そのほとんどが慢性腰痛で、特に長時間立ちっぱなしだったり、同じ姿勢で長時間座っていたり、歩き続けたり力仕事をしたりすると特に腰痛が強くなります。

坐骨神経痛などの下肢の痛みやしびれ：
特に脊椎すべり症の時に多く見られる症状で神経に触れたり圧迫することで坐骨神経の走行に沿って痛みやしびれが見られます。

間欠性跛行：
脊柱管狭窄症の特徴的な症状であるこの間欠性跛行ですが、腰椎が滑ることでこの脊柱管を狭窄する場合があります。
その時に起こるのがこの間欠性跛行です。

分離症・すべり症の原因は色々ありますが主な原因についてお伝えしていきます。

脊椎分離症：
脊椎分離症の原因は、先天的に分離してしまっていることも稀にありますがほとんどの場合は子供時代の成長期に過剰なスポーツを繰り返しおこなったことによって起こる「疲労骨折」が原因だと考えられています。

小さな頃からスポーツに熱心だった人にこの脊椎分離症は多く見られます。

脊椎すべり症：
このすべり症の多くは、加齢が原因だと言われています。
歳を重ねてくると、脊椎の周りを支えている筋肉や靭帯、椎間板や関節などに緩みが出てきて脊椎を支える力がなくなることで発症すると言われています。

では、分離症・すべり症になってしまった時に一般的にはどのような対処法が取られているのでしょうか？
一部をご紹介しましょう。

まず、痛みが出ている場合は安静を指示されることが多いようです。

腰に負担のかかるスポーツや作業を極力やめて、患部を安静に保つことで痛みや痺れの原因になると考えられる神経の圧迫を軽減する目的で行われます。

さらに、腰部のコルセットを用いることで患部を固定して動きを制限させたり変形を防ぐということを狙います。

ただ、まったく患部を動かさない状態が長期間続くと逆に痛みが増幅することもあるので適度にウォーキングなども行うと効果的です。

分離症・すべり症の時に主によく行われる対処として痛みや痺れの箇所に超音波や低周波のようないわゆる電気と言われる物理療法が行われます。

１０分ほど、電気をかけて筋肉を柔らかくして骨が元の位置に戻りやすくしたり、腰や足に痛みやしびれがある場合などにその痛みやしびれを一時的に緩和することを目的として行われることが多いです。

そのほかには、ホットパックなどで患部を温めて血流を良くして痛みの緩和を狙うという方法もあります。

症状によって、薬物療法も一般的に多く用いられます。

痛みや炎症が強い場合などは消炎鎮痛剤
筋肉を柔らかくして慢性痛の緩和を狙う場合は筋弛緩剤
その他に、末梢循環促進剤や向精神薬など色々な処方があります。

そして、分離している部分や滑っている部分に神経ブロックを行い鎮痛効果を狙うこともあります。

そして、それらの方法を試しても改善しない場合は手術が最終手段として取られます。

手術の適応は、日常生活に支障をきたすほどの症状や膀胱障害や直腸障害などが見られる時に行われます。

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